2010.10.01 Friday
Ever17
Ever17
僕自身実は、あまりギャルゲーが得意じゃありません。
というか、ラブロマンス全般、愛だの恋だのを題材にしているフィクションに、あまり興味がないのです。
なんというか、嘘っぽさを感じてしまうのがその原因だと思うのですが、具体的な理由は僕自身も分かりません。
そんな僕ですが、かつてプレイした、クロスチャンネルというゲームから、この手のジャンルを見直すことにしました。
というのも、そのクロスチャンネルというゲームは、
「学園ものギャルゲーの皮をかぶった、『SFサスペンス』だった」
からです。
その後にプレイした、シュタインズゲートというアドベンチャーゲームも、よく出来た時空間SFアドベンチャーで、アドベンチャーゲームを見直した僕は、まぁそんな流れもあって、Ever17をプレイしました。
事前に聞いていた説明によると、2017年の近未来を舞台とし、海中のテーマパークである「LeMU」に閉じ込められた、6人の男女の、5月1日から5月7日の一週間を描く、アドベンチャーゲームとのことでした。
海面から15〜30メートルほどの海中に、取り残されてしまった人々の、極限状態を描くゲームなのかなー、なんて一瞬思ったのですが、そうではないと、紹介者の友人も言っていました。
曰く、食料も水も心配なく、そのうち助けが来るだろうからと、わりとまったりしている7日間が描かれるそうです。
さて、全くもって唐突に話は変わりますが、みなさんはゲームの可能性について考えたことがありますでしょうか。ゲームの可能性、それはつまり、「ゲームにはできるけど、他のメディアにはできないこと」です。
これを「ゲームらしさ」と噛み砕いたり、あるいは「ゲーム性」と称したりします。
上述のゲーム、Ever17。
これは、既に紹介している通り、ギャルゲー(のように見える)であり、アドベンチャーゲームです。
アドベンチャーゲームとはつまり、文章を読んでいき、選択肢を選ぶという、比較的本、小説や漫画に近いジャンルのゲームと言えます。
もちろん僕も、長年のゲームのプレイ感覚から、そのつもりでプレイしていました。
だらだら文章を読みながら、時々起こる事件に興味を惹かれつつ…一周目は、それなりに面白く終われました。
しかし、最終章に進むには、全てのキャラクターのエンディングを一度見なければならず、一度読んだ文章は読み飛ばし、読んでいないところをテキトーに読んで、さっさと最終章に行きたい、それだけを考えてプレイしていました。
当然、作中の謎が、途中のキャラクターのエンディングで明らかになったります。
その時はその時で、「へー」と唸って納得するのですが、それとは別に更なる謎が出てきたりしました。
中盤〜最終章に至るまでは、読み飛ばす文章の量もあって、「こんだけ謎残しておいて、エヴァみたいな終わらせ方だったら、まじでクソゲーって言って扱き下ろしてやる」とか考えてました。
で、期待の最終章。
に突入したものの、しばらくは変化の乏しい、いつも通りのストーリーが展開していきます。
なんだ・・・いつ面白くなるんだ?
と思いながら文章を進めていくと、だんだんと、ゆっくりと、違和感が募るようになります。
「あれ?」「え?」「どゆこと?」
みたいな露骨な違和感。
もちろん、このゲーム全体がプレイの段階では「わけわからんゲーム」なので、プレイ当初から違和感を覚えてはいるのですが、ここにきて、その違和感が見過ごせないものとなっていきます。
そんな「どういうことなの?」が詰まったある瞬間。
物語が変わります。
SFだと思っていたものが、サスペンスに。
単なるギャルゲーだと思っていたものが、張り巡らされた伏線を一本に繋ぐシリアスなドラマに。
本のようなものだと思っていた本作が、紛れもないゲームに。
そして僕は思いました。
これほどゲームらしい、ゲームとして面白いアドベンチャーゲームは、他にないのではないかと。
当たり前の話ですが、小説は物語を読み終えるまで、小説です。
同じように、映画は観終わるまで、映画です。
しかし、ゲームはそうとは限りません。
小説(のようなゲーム)と思えるものが、実は映画だったり、漫画だったり、詩だったりします。
例えは極端ですが、それぐらいの表現の幅を持たせることができるのです。
「はい」と「いいえ」しか選べないはずのに主人公に、お嫁さんを選ばせるイベントを作ったり・・・
ジャンプとファイヤーボールしかできないオヤジに、空を飛んだり、地蔵に化けたりする力を付けてみたり・・・
ニドランしか性別の存在しなかった生物に、性別を与え、卵を産めるようにしたり・・・
映画や漫画や小説にはない、
「そんなことができるの!?」という驚きを、ゲームは唯一、与えられるのです。
Ever17も、そんな類のゲームでした。
アドベンチャーゲームの、領域を超えたアドベンチャーゲーム。
言い換えるなら、小説の枠を超えた小説。
しかもその枠の超え方が、前述のシュタインズゲート、もしくはクロスチャンネルのような「物語にプレイヤーを没頭させる」類のものではなく、全く逆の(あるいは別の)方法で、プレイヤーを引き付けることに成功していたのです。
僕は、長いことゲームをプレイしているつもりですが、同じような手段で、プレイヤーを物語に引き付けたことに成功したゲームを、一つしか知りません。
それぐらい、凄いゲームであり、可能性を持ったゲームなのではないかと思います。
まったくもって、勢いに任せた文章であり、ネタバレを避けるため、非常に分かりにくい文章になってしまいました。
このゲームをプレイし通した人にさえ、伝わりにくい文章になってしまった感がありますが、僕の文才ではこの辺りが限界かな、と思います。
とりあえず、少しでも気になる方は、全ての事前情報を得ないように、細心の注意を払ったうえで、ゲームをプレイして欲しいと思います。
そのうえで、この非常に長いゲームを、なんとしてもやり遂げてください。
その時、他のゲームでは得ようもない、物語を解明した快感を、得られるはずなので。
95点
関連レビュー
高機動幻想ガンパレードマーチ
クロスチャンネル
僕自身実は、あまりギャルゲーが得意じゃありません。
というか、ラブロマンス全般、愛だの恋だのを題材にしているフィクションに、あまり興味がないのです。
なんというか、嘘っぽさを感じてしまうのがその原因だと思うのですが、具体的な理由は僕自身も分かりません。
そんな僕ですが、かつてプレイした、クロスチャンネルというゲームから、この手のジャンルを見直すことにしました。
というのも、そのクロスチャンネルというゲームは、
「学園ものギャルゲーの皮をかぶった、『SFサスペンス』だった」
からです。
その後にプレイした、シュタインズゲートというアドベンチャーゲームも、よく出来た時空間SFアドベンチャーで、アドベンチャーゲームを見直した僕は、まぁそんな流れもあって、Ever17をプレイしました。
事前に聞いていた説明によると、2017年の近未来を舞台とし、海中のテーマパークである「LeMU」に閉じ込められた、6人の男女の、5月1日から5月7日の一週間を描く、アドベンチャーゲームとのことでした。
海面から15〜30メートルほどの海中に、取り残されてしまった人々の、極限状態を描くゲームなのかなー、なんて一瞬思ったのですが、そうではないと、紹介者の友人も言っていました。
曰く、食料も水も心配なく、そのうち助けが来るだろうからと、わりとまったりしている7日間が描かれるそうです。
さて、全くもって唐突に話は変わりますが、みなさんはゲームの可能性について考えたことがありますでしょうか。ゲームの可能性、それはつまり、「ゲームにはできるけど、他のメディアにはできないこと」です。
これを「ゲームらしさ」と噛み砕いたり、あるいは「ゲーム性」と称したりします。
上述のゲーム、Ever17。
これは、既に紹介している通り、ギャルゲー(のように見える)であり、アドベンチャーゲームです。
アドベンチャーゲームとはつまり、文章を読んでいき、選択肢を選ぶという、比較的本、小説や漫画に近いジャンルのゲームと言えます。
もちろん僕も、長年のゲームのプレイ感覚から、そのつもりでプレイしていました。
だらだら文章を読みながら、時々起こる事件に興味を惹かれつつ…一周目は、それなりに面白く終われました。
しかし、最終章に進むには、全てのキャラクターのエンディングを一度見なければならず、一度読んだ文章は読み飛ばし、読んでいないところをテキトーに読んで、さっさと最終章に行きたい、それだけを考えてプレイしていました。
当然、作中の謎が、途中のキャラクターのエンディングで明らかになったります。
その時はその時で、「へー」と唸って納得するのですが、それとは別に更なる謎が出てきたりしました。
中盤〜最終章に至るまでは、読み飛ばす文章の量もあって、「こんだけ謎残しておいて、エヴァみたいな終わらせ方だったら、まじでクソゲーって言って扱き下ろしてやる」とか考えてました。
で、期待の最終章。
に突入したものの、しばらくは変化の乏しい、いつも通りのストーリーが展開していきます。
なんだ・・・いつ面白くなるんだ?
と思いながら文章を進めていくと、だんだんと、ゆっくりと、違和感が募るようになります。
「あれ?」「え?」「どゆこと?」
みたいな露骨な違和感。
もちろん、このゲーム全体がプレイの段階では「わけわからんゲーム」なので、プレイ当初から違和感を覚えてはいるのですが、ここにきて、その違和感が見過ごせないものとなっていきます。
そんな「どういうことなの?」が詰まったある瞬間。
物語が変わります。
SFだと思っていたものが、サスペンスに。
単なるギャルゲーだと思っていたものが、張り巡らされた伏線を一本に繋ぐシリアスなドラマに。
本のようなものだと思っていた本作が、紛れもないゲームに。
そして僕は思いました。
これほどゲームらしい、ゲームとして面白いアドベンチャーゲームは、他にないのではないかと。
当たり前の話ですが、小説は物語を読み終えるまで、小説です。
同じように、映画は観終わるまで、映画です。
しかし、ゲームはそうとは限りません。
小説(のようなゲーム)と思えるものが、実は映画だったり、漫画だったり、詩だったりします。
例えは極端ですが、それぐらいの表現の幅を持たせることができるのです。
「はい」と「いいえ」しか選べないはずのに主人公に、お嫁さんを選ばせるイベントを作ったり・・・
ジャンプとファイヤーボールしかできないオヤジに、空を飛んだり、地蔵に化けたりする力を付けてみたり・・・
ニドランしか性別の存在しなかった生物に、性別を与え、卵を産めるようにしたり・・・
映画や漫画や小説にはない、
「そんなことができるの!?」という驚きを、ゲームは唯一、与えられるのです。
Ever17も、そんな類のゲームでした。
アドベンチャーゲームの、領域を超えたアドベンチャーゲーム。
言い換えるなら、小説の枠を超えた小説。
しかもその枠の超え方が、前述のシュタインズゲート、もしくはクロスチャンネルのような「物語にプレイヤーを没頭させる」類のものではなく、全く逆の(あるいは別の)方法で、プレイヤーを引き付けることに成功していたのです。
僕は、長いことゲームをプレイしているつもりですが、同じような手段で、プレイヤーを物語に引き付けたことに成功したゲームを、一つしか知りません。
それぐらい、凄いゲームであり、可能性を持ったゲームなのではないかと思います。
まったくもって、勢いに任せた文章であり、ネタバレを避けるため、非常に分かりにくい文章になってしまいました。
このゲームをプレイし通した人にさえ、伝わりにくい文章になってしまった感がありますが、僕の文才ではこの辺りが限界かな、と思います。
とりあえず、少しでも気になる方は、全ての事前情報を得ないように、細心の注意を払ったうえで、ゲームをプレイして欲しいと思います。
そのうえで、この非常に長いゲームを、なんとしてもやり遂げてください。
その時、他のゲームでは得ようもない、物語を解明した快感を、得られるはずなので。
95点
関連レビュー
高機動幻想ガンパレードマーチ
クロスチャンネル